パロディ作品を否定するのはやめようぜ

最近、ニコニコ動画で見たある動画が大変面白かった。

その動画は名探偵コナンのアニメ映像に合わせアテレコやBGMを入れるというシンプルなものなのだが、その声芸のクオリティの高さや奇抜さなどにより非常に面白い動画となっている。筆者など、この動画を作業用BGMとして使うくらいにはまっている。


さて、今回問題にしたいのはこの動画自体のことではない。
問題なのはこのようなパロディ作品によく寄せられるある批判、つまり「元々の作品を馬鹿にしている」「作者に失礼だ」といった類の批判である。
しかし、このような原作をむやみに崩すな、という意見は的外れなものであると僕は考えている。


このような意見を述べる人がどういう思考回路をたどっているか考えてみると、自分の好きなものを壊されたことからくる意見であることがわかる。つまり、パロディ作品を見たときに、自分の「この作品はこうあるべき!」像からずれているのを発見して憤りを感じるのである。

しかし当然のことながら、すべての人が従うべき理想の作品像など存在しない。特定個人がある作品をどう楽しむかは誰にも規定できないのである(その作品の作者でさえも!)。もし特定の楽しみ方を万人が楽しむべきだと言うのであればその根拠を聞いてみたいものだ。

また、僕はパロディ作品には面白い作品が多いと考えている。
パロディ作品は元々の作品についての知識を前提としており、つまりは様々な前後関係や登場人物のキャラクターといったものが予め存在した状態で作られるものだ。これをぶち壊したりすることで原作では不可能な新しい笑いなどを生み出すのがパロディ作品であり、エンターテイメントに多様さを提供している。

せっかく今ネットのおかげでこういったパロディ作品を誰もが作り、公開し、また楽しむ環境があるのだから、パロディ作品を否定するよりも原作の多様な楽しみ方を許容すべきではないだろうか。